境界の違いゆえ 寿命の長短あるけれど またお浄土で遇いましょう

光徳寺 住職

今日も「あの~猫ちゃんは?」と聞かれる。
会えるのを楽しみにお寺に来たそうだ。

先月9日夜、長年私たちとで一緒に暮らし本堂をテリトリーとしていた猫のクーちゃんが死んだ。
数日前から朝夕が冷えてきたのと、10月に入ってかなり弱っていたので、9日夕食を終え、少し抱っこしておこうと本堂に行ってみたら、息が絶えてすぐの状態のようだった。
少し体が硬直し始めていたが、声をかけ抱き上げて
「寒かったね、抱っこしようね」
と膝の上に一時間ほど抱き上げて、いつも膝の上に乗ってきていたように
「クーちゃん、クーちゃん」
と名前を呼び背中や体をさすりながら色々な事を思い出した。

お寺の庫裏裏の土間の段ボールの中で野良猫の母猫ちゃんが3匹の子どもを産んだ。
しかし、私たちがのぞくのが気が気でない母猫はあっちやり、こっちやりと挙句の果てには駐車場の空き地に置きざりということがあった。
見て見ぬ振りが出来ず、当時大人猫4匹いたが迎え入れることにした。

黒とこげ茶とグレーの兄弟。
黒はコク()、こげ茶はキリ、グレーはクー、2匹は()。3匹ともお正信偈から名前をつけた。

全員哺乳瓶からお乳を飲ませゲージの中にトイレを設置して訓練した。
少し大きくなって3匹で走り回って遊ぶ姿に随分癒された。

1年が経った頃、コクは他のオスの大人猫ちゃんたちから追い出され、近くのおばあさんのお家に住み、キリは突然居なくなった。
残ったクーは他の猫ちゃんに妹分として可愛がられた。

月日は流れ本堂でお接待していたタマ、ラン、ポン、シンちゃんの後を引き継ぎそれから12年間、後からに来た猫ちゃんたちの教育係も担ってくれた。
お朝事お夕事の勤行時には横に座り、法座でもよく御講師に褒められていた。

2年前の交通事故で足を引きずりながら歩く姿、最後まで老いゆく日々を生きぬく姿が目に焼き付ている。